放ち鵜飼について

 放ち鵜飼とは

放ち鵜飼とは、追い綱(鵜匠と鵜をつなぐ長さ約4mの綱)を使用せずに鵜を川に放ち、鵜が自由に水辺で魚を捕獲し、その鵜を鵜匠が呼び寄せ行う漁法のひとつです。そのため鵜匠と鵜の信頼関係が通常の鵜飼よりもさらに大切になってきます。国内では平成13年まで島根県益田市の高津川で放ち鵜飼が実施されていましたが、現在では行われていません。
宇治では、平成26年に日本で初めて人工ふ化によるウミウが誕生しました。宇治で生まれたウたちは、公募で愛称を募集し「ウッティー」と名付けられ鵜匠は愛情をもって日々世話をしています。本来野生のウミウは神経質な鳥でちょっとした環境の変化にも敏感な鳥ですが、人工ふ化、育雛の試みの中で、宇治で生まれた「ウッティー」達は人を怖がらず、より人に慣れやすいことに気付きました。そこで、「ウッティー」と呼べば鵜匠のもとへ戻ってくる「放ち鵜飼」を行っています。

 国内初の人工ふ化

鵜飼は、全国で11ヶ所の地域で開催されています。 鵜飼で活躍するウは、茨城県日立市で捕獲された野生のウミウを飼い慣らしています。 鵜はとても神経質な鳥で、飼育下では産卵することがありませんでした。
しかし平成26年春、宇治川の鵜飼の鵜たちに一組のつがいができ、初めて卵が産まれました。 このことは非常に珍しく、大変な驚きでした。 産まれた卵は、ふ卵器に入れ人工ふ化を試みました。飼育下での鵜の産卵も、人工ふ化も 全国で過去に例がなく、手さぐりの状態からふ化の試みが始まりました。 卵を発見してから27日目の朝に卵にヒビが入っていることを確認しました。 ひび割れた卵の中から、か弱く鳴くヒナの声を聞きながら見守り続け、この日の深夜未明に、 国内で初めて人工ふ化により鵜の赤ちゃんが誕生しました!
※「国内初」表記に関して、自社調べとなります。

 ウッティー成長記録


生まれてしばらくは魚をペースト状にしたものを注入器で与え、適度な保温、衛生管理、給餌を行い生後20日前後には立つこともできるようになります。 時に成育不良な状態に陥ったこともありましたが、地元の獣医師や動物園等の鳥類の育雛に詳しい方々に助言をいただき 試行錯誤のなか、すくすくと成長していきました。

産 卵

鵜小屋で親鳥の鵜たちが作った巣の中で卵が産まれると、人工ふ化のため擬卵と入れ替えます

ふ卵器

卵は、ふ卵器の中で転卵させながら、約27日間温めます

孵化直前

卵のひび割れが大きくなり、やがてふ化します

1日目

首をささえながら初給餌です

9日目

目が見え始めました

15日目

身体が毛に覆われ始めました

20日目

2本足で立てるようになりました

30日目

羽を広げ羽ばたくようになりました


鵜匠は、卵からヒナへそして若鳥へと成長していくウッティー達を、我が子の様に大切に育てています。人工ふ化で生まれた「ウッティー」達は本能行動による刷り込みで鵜匠を親だと認識して育ちました。そのため、「ウッティー」達を見ていると他の鵜と比べても人懐っこさがあります。

ウッティー達と共に、挑戦する、日本で唯一の「放ち鵜飼」。
現在は、春(5~6月)と秋(10~11月)に放ち鵜飼の開催を予定していますので、 是非、お越しいただければ幸いです。応援よろしくお願いします。